あいらぶ先輩!
気付かずに
放課後。
いつもは爽司と寄り添い歩く街を、ハルキと歩いている。
街はところどころがキラキラと輝いていた。
赤や黄色が溢れている。
周りは寄り添うカップル達。
幸せそうに通り過ぎて行く。
あたし達も、傍から見たらカップルに見えるのだろうか。
ううん、きっと見えないね。
だってあたし達はこんな寒い中でも、手を繋いでいないんだもの。
友達だし。
それに、あたしとハルキは肩を並べて歩いていたら、とても不釣り合いに思えるから。
道ゆく人はみんなハルキの顔を見てく。
好奇の目つき。
仕方ない、ハルキはカッコイイもん。
そんな注目の的のハルキは、降り注がれる熱視線に全く気付いていない。
あたしは正直数メートル離れて歩きたいけど、そうにもいかない。
「んで、どういう系統のを買いたいと思ってるわけ?」
「...それが浮かばないの。」
口を開いたら、息が空気に白くうつる。
開いた首元が冷たくなる。
マフラー持ってこれば良かった。
「まず店入ろ。さみぃ。」
そう言ってハルキはあたしの手を引っ張って行った。