あいらぶ先輩!
「楽しみだねっ。」
やっとシアターの座席に座り、息をつくあたしたち。
あたしが、感動した!とか噂を聞いて、ずっと見たいと思っていたこの映画。
隣にいる爽司はなんだか、つまんなそうで。
声をかけてみると、
「ああ。」
会話、終了。
やっぱりこんなクリスマスの日でも、いつもの氷のプリンス爽司だ。
しまいには、あくびを噛み殺している。
「......。」
どこ行きたい?って聞かれて、この恋愛モノの映画を見に行きたいってチョイスしたのは間違いだったかな。
アクション系とかSF系とか、もっと男の人でも楽しめる映画をチョイスすれば良かったよ...。
早後悔...。
あたしが肩を落としていると、シアターの照明が消え、いよいよ上演が始まる。
再度、チラっと隣を見ると...。
「......。」
やっぱりつまんなそうな表情。
しかも眠たそう。
一つため息を吐き、カバンの中からレモン色のハンカチを取り出した。
あたしは泣く準備満タンだもんっ。
純愛とかに弱いんだよね、あたし。
自分に重ねて、感情移入して泣いちゃうタイプ。
映画、楽しむもんねーだ。