あいらぶ先輩!
 


迎えに来てくれた先輩は、教室を出て駆け寄るあたしに、




「行くぞ。」



と、いつもみたいにぶっきらぼうな口調でそう言った。




でも、表情は隠しきれてない先輩。

ポーカーフェイスを保とうとしているんだろうけど、先輩を始終観察しているあたしにはわかる。

3ポイントシュートを決めて、″すごい″って言われて、″んな事ねぇよ″って答えるときと同じ顔してるよ。

嬉しいって気持ちを抑えようとして、顔がぎこちなくなるんだよね。



″嬉しい″って思ってくれてるんだぁ...。


そんな先輩が可愛くて、″愛しい″って気持ちがこみ上げてくる。

あたしは、頬を緩めて微笑んだ。




「ん。」



そう言って片手を差し出す先輩。

あたしは「えへへっ。」と笑って、手をとった。

 
冷めた手もすぐに暖かくなる。

先輩って、手あったかいんだな。




「...アホ。」


ニヤけ続けるあたしに、優しい声色で呟く。

ぎゅうっと手を握られて、あたしの心はシアワセでいっぱい。

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