あいらぶ先輩!
「どーしたの?」
メソメソ泣いていると、すぐ隣から優しい声が聞こえてきた。
あたしが保健室に来てから、一度もドアは開いていない。
先客がいたの?
涙でボロボロの顔を向けると、知らない人の姿があった。
誰?
この学校は、制服に入ってるラインが学年で違う。
一年生は青、二年生は赤、三年生は緑。
この人は青だから、一年生だ。
ってことは、同じ学年?
でもこんな人、見たことない。
「誰か入ってきたと思ったら、しばらくすると泣き出すし。
寝ようにも寝れねぇっつの。」
「...すいません...。」
その人は首をポキポキ鳴らして、めんどくさそうにそう言った。
どうやら眠ろうとしてたところを、あたしに妨害されたようす。
おそらくこの人は同じ歳だろうに、あたしは敬語で謝ってしまった。
この人、涙で滲んであんまり見えなかったけど。
かなり、キレイ。
いやズボン履いてるから男の子なんだけど。
職人が計算し尽くして、やっとできた最高級品みたいな。
ムダなところが見当たらない。
シャープな輪郭に、スッと通った鼻筋。
切れ長の瞳に、どこどなく色気を漂わせていて。
きめ細やかな肌。
髪は触ったらやわらかそうなダークブラウン。
爽司は″カッコイイ″だけど、
この人は″カッコイイ″よりは″キレイ″だ。
こんな人、この学校にいたっけ?