dessin
長谷川の言葉に俺の表情はだんだん青ざめる。
パチッパチッとパズルのはまるような音が頭で響いた。
「夢は現実。現実は夢。赤い円、黒い服、黒いモノ、尖った鉄、カメラ…あとは…」
「鐘…」
「…そうです。鐘。」
嫌な予感がする、座ったまま後ずさったからか、椅子がキィッと鳴った。
「あの…」
「先生。先生は予知が出来るんですか…」
「予知…とは言いませんが。そのようなことは可能ですね…」
「予知夢、ってどんなものですか…」
「そうですね…謂わばループのようなものかと…夢の中で、次の日を予習するような、そんなものだと思います。」
「っ…」
じわじわと思い出してきた。
これはヤバい、と心臓が脈を打つ。
長谷川は何もかもわかったような表情でニッコリと笑った。
「どうされましたか?」
「いや…先生。ちょっと話を聞いてもらえますか。」
俺は、思い出せる限りの夢の話を長谷川にゆっくりと伝えた。
窓の外で珍しい目の色の猫が、こちらをじっと見つめているような気がした。
episode1 END