dessin
「…へぇ」
「俺はお前を刺し殺す夢を見たんだ」
「…皆まで言うな。気分悪いだろ?」
「…ごめん」


コイツは再び考え込むように膝に顎を乗せるようにして数回瞬きをした。
相当参ってるみたいだ。

そう思った所で俺の思考が電気コードを引き抜かれたテレビの様にぷつりと切れた。


「そんなヘコむなよ…っ、あ…?」
「ん?」
「いや…なんでもねぇよ」


何か忘れていないか?今、何かしようとして、それを忘れている事に気がついた。
しかしながら、それが何かは解らなくて。
何かを忘れている。
それは確信が持てる。でも、何を?

俺の頭はフル回転していた。まるで扇風機の羽根のように、目まぐるしく回るものの、またスタート地点へと戻ってきてしまう。


幾度も、幾度も。


今日の俺はどうかしている。
いちいち何かが腑に落ちない気もすれば、それが当たり前のような気もする。
わからない、俺の頭な筈なのに違う人物が支配し始めているようで気分が悪い。
ふと視線を横に向ければ沈んで参ってる様子の両方の瞳が真っ直ぐこちらを見ていた。



episode5 end
< 20 / 20 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

嘘吐き
結城基/著

総文字数/261

詩・短歌・俳句・川柳1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop