躾と束縛と愛情【短篇】
いつもの優しさなどない勢いで、薄紅の口唇に口づけると、彼女の瞳が大きく驚きに見瞠られて。
「……っ、…柾…み……」
驚きに薄く開いた彼女の口唇を喰むように挟んで、舌でゆるく舐めあげると拒むかのように顔を背ける。
「……ダメだろ、あかり、」
それを彼女の頬を両手で包むように制して、吐息が触れ合う距離で。
「オレのことが嫌いじゃなければ、逃げるなよ……」
囁きのように呟いて、目元に口づける。
「───…っ、……ずるい、…柾巳く…ん…」
潤んだ瞳で見上げてくる視線に笑みの形に口唇をつらせた。
「うん、そうだね……ずるいんだ、オレは……」
───お前の優しさにつけ込むようにして、自分の醜い心を隠そうとするほどに。
「でも、あかりがオレをこうさせるんだよ」
───オレに嫉妬心を覚えさせるから。