躾と束縛と愛情【短篇】



「ん、ぅ…っ」



再び口づけて、口唇の合わせ目から舌を口腔内に潜り込ませ、並びの良い歯列を割り、戸惑う薄い舌を捕り絡めると彼女の吐息があまく鼻から抜けた。

次第に上気していくなめらかな頬と潤んでいく瞳に、意識が傾いでいく。



「……あかり、」


───お前を誰にも渡したくなどないんだ。だから…


呼びかけに続く言葉を胸の裡で継いで、細い体躯を床へと押し倒した。


「ま、柾巳くん……?」


「……悪い、あかりがここにいることを確かめさせて」

───オレだけにしか見ることのできないお前を刻みつけさせて。


やわらかな笑顔も、
一筋の髪の毛さえもオレだけのものだと確かめさせて欲しいんだ。


いますぐに。


それは、結局はオレの我が儘だけれど、オレを変えたのはお前だから。


今のオレの大半を占めるのはお前たのだから。



オレがあかりを全部貰ってもいいだろう。



20101123


(可愛いのはオレの前だけでいいのに)

< 12 / 12 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:6

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

先生はケダモノ

総文字数/3,800

恋愛(学園)8ページ

表紙を見る
懺悔する恋人たち【短篇】

総文字数/1,746

ホラー・オカルト10ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop