躾と束縛と愛情【短篇】
「ん、ぅ…っ」
再び口づけて、口唇の合わせ目から舌を口腔内に潜り込ませ、並びの良い歯列を割り、戸惑う薄い舌を捕り絡めると彼女の吐息があまく鼻から抜けた。
次第に上気していくなめらかな頬と潤んでいく瞳に、意識が傾いでいく。
「……あかり、」
───お前を誰にも渡したくなどないんだ。だから…
呼びかけに続く言葉を胸の裡で継いで、細い体躯を床へと押し倒した。
「ま、柾巳くん……?」
「……悪い、あかりがここにいることを確かめさせて」
───オレだけにしか見ることのできないお前を刻みつけさせて。
やわらかな笑顔も、
一筋の髪の毛さえもオレだけのものだと確かめさせて欲しいんだ。
いますぐに。
それは、結局はオレの我が儘だけれど、オレを変えたのはお前だから。
今のオレの大半を占めるのはお前たのだから。
オレがあかりを全部貰ってもいいだろう。
〆
20101123
(可愛いのはオレの前だけでいいのに)