躾と束縛と愛情【短篇】
「どうして『嫌』なのか言ってくれないとわからないぜ?」
細い手首を掴んで些か声音を落とすと、彼女が一瞬ちいさく肩を震わせた。
「……だって、」
「ん?」
ちいさく彼女が呟く。
「だって、柾巳くん、キスだけじゃ止まらないんだもん!」
半ば自棄気味に叫んだ彼女に、きっ、と睨まれても、真っ赤になった彼女は何時も以上に可愛らしくて…
「(───本当にオレを煽るのが上手い彼女だ)」
制止を求めた彼女が空を仰いだのは数瞬後。
「やッ、やだやだ!柾巳くんのスケベ~ッ!」
押し倒されてもバタバタともがくけれど、オレが逃がす訳ないだろう?
「スケベとは心外だな、あかり。オレはお前だからこうなるんだよ?」
耳元で囁けば、より赤みを増す頬。
「~~~…ッ!」
声を詰まらせた彼女に、漸くの接吻け。
「ふふっ、好きだよ。オレの愛しのお姫様」
〆
20101122
(お前が好きすぎて止まらない)