秘密のMelo♪y①*日本編*

会場からどんどんそんな声が飛び交う。


「ど、どういうことよ! なんであんなモノがっ…!」


慌てふためく二人の横を…。


「…!?」


…真裕がスッと通った。

その通りすがり…女の持っていたバイオリンを奪い取る。


「真裕…?」


「……出る」


「は…!?」


出る…だと?

正気かおい。

今こんな状態のところへ…ましてテレビやなんかまでいるところへ本物が出てきたらえらいことだぞ。

日本だけじゃない。世界中がここに集結してしまう。

そうすればお前は……もう今のような生活はできない。

顔が知られれば毎日追い回されるだろう。

目的である母親探しもままならなくなるぞ!


…だが、俺に止める権利はない。

思わず手を伸ばしたが、なにも言えず、その手は宙を切っただけだった。


「……! おいっ! 照明落とせ!」


そうだ、せめて舞台の照明を落とせば……客席から顔は見えない。


そう思い、一番近くにいた修平に怒鳴りつけるように言った。


「へっ……し、照明? お、おおコレか。レバー下ろせばええんやな?」



―ガシャンッ



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