秘密のMelo♪y①*日本編*
音がして、停電したかのように真っ暗になった舞台。
そこへ……真裕は、一人、恐れることなく歩いて行った。
「……」
「……」
「……」
その場にいた全員が息を呑み、その後ろ姿を見守る。
「ちょっとなによーっ!」
「ごまかそうってのか?」
「出てきやがれーっ」
ワーワーとさらに騒がしくなりだした場内。
「ん……? 誰か出てきたわよ」
「こいつか! 偽物は――っ!」
野次が飛び交う中、真裕は何の躊躇もなく、凛とした態度で前を見据え……バイオリンを構えた。
「…!?」
「演ろうっての…!?」
「待て! あの…髪……」
「ほん……もの…だ……」
構えたことによって静まり返った客席から、一人の声がポツンと、妙に響いた。
「トレードマークの長い黒髪…。……本物だ!!」