秘密のMelo♪y①*日本編*

「おいよく見えないぞ!」

「なんで照明落ちたんだ?」

「間違いなく本物なんだろうな!」


再びざわめく場内。

それを鎮めるように……。


「――っ…!」


…真裕の弾くバイオリンの音色が、静かに響きだした。


ショパンの『別れの曲』。

子供だった藤峰真裕が…得意としていた曲の一つだ。

なるべくバイオリン向けに近付くよう自分で編曲している。

しかもおそらく……子供の頃即興でだろう。

綿密に計算された完璧さじゃない。

子供独特のあどけなさ…純粋さ。

そして、それでも大人の世界を知ってしまった背伸びをした部分もすべて曲に…音にこもっている。


「さすが……藤峰真裕だ」


蓮二が、俺の心の内を代弁するようなタイミングでポツリと呟いた。

さっきからこいつの反応、もしかして……。



「…!」


クライマックスに入る頃、ふと目の端に映った真裕の名を騙っていた女。

女は無意識なのか、頬に涙を伝わせていた。


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