秘密のMelo♪y①*日本編*

「……これが本物だ」


それを見て、俺は、考えるより先に口が動いていた。

俺にしては……あり得ないことだ。


「え…?」


「“あそこ”に立つためには、どれだけの覚悟がいるか。お前に分かるか?」


「……」


「ましてあいつは、さっきも言ったようにでかいもん背負ってんだ。生半可な気持ちじゃやってこれねぇよ」


あいつにできるのは音楽。バイオリン。

それですべてを抱えてる。


「あいつが天才と謳われたのは、親の七光りでも金のせいでもない。あの演奏だ」


なにがあっても、どんなことがあっても――。



「あいつはバイオリン一つで、演奏一つで、すべてを水に流すような……そんな綺麗な澄んだ音を出す」



それが真裕のバイオリンであり、真裕自身。

そして……。


「それができるのは、強い意志と覚悟を持ってるからだ」



確かに一番は、好きだからという理由かもしれない。

でも実際それだけじゃ続けていけないのが現状だ。

それに加えて……強い意志が、必要なんだよ…。


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