秘密のMelo♪y①*日本編*

お母さんの旧姓である“武藤”。

小さい頃からのあだ名、自称である“まお”(漢字は当て字)。


もうその…『天才』とやらの演奏は出来ないから、藤峰真祐の名を隠しその名で、と。

でも“そのときがくれば”…なんとしても演奏はする。


その条件でいいと言われ、ここの入学を呑み、パリから帰ってきたのだ。

お母さんを……捜すために。




「だからそれを見つけ…」


「ぅえっほん!! おほんっごほんっ! あー、なんか喉痛いかも!」


大きな声で、まったくの嘘だというのがバレバレだ。

でも、入学していきなりあっさりと認めるわけにはいかない。

一日でも長く隠し通さないと…あたしはパリに帰ることになっちゃう。

そうなったら、日本に来た意味がない。


「ねえねえかっくん。まおジュース飲みたいから買いに行くんだけど場所教えてくんない?」


「ああ?」


「それなら俺が――」


「かっくんがいい!」


ていうかじゃなきゃ意味ないんです!

しゅっちゃんがあたしとここを離れて、それでどうするっていうんですか。


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