秘密のMelo♪y①*日本編*
いかにもわざとらしく落ち込んでみせるしゅっちゃんを危うく蹴飛ばしそうになりながらも、かっくんを引き連れて教室を飛び出した。
「…あっ!」
バイオリン忘れた……。
ちぇっと小さく舌打ちをし、かっくんに「ちょっと待っててね」と告げ、ついさっきまでいた場所へ逆戻り。
「ん? 真緒ちゃん」
「ジュースは? てか星野楓は?」
「うん」
適当にそう答えて、素早くケースを袋にしまって再び飛び出た。
「あ、ちょお待ちー!」
と、しゅっちゃんの声が追いかけてきたけれど。
聞こえないフリをした。
「んじゃー行こうねかっくん♪」
「かっくん言うな」
むっとしてあたしを睨む顔が、今はなぜか可愛く見える。
最初は怖かったのになー。