秘密のMelo♪y①*日本編*
――五歳のときにコンクールのジュニア部門で優勝し、以降天才的な演奏でその名を轟かせる……。
そして弱冠十三歳にして、パリ国際音楽コンクールに出場。準優勝を飾り、世界的に認められることとなる。
天才と呼ばれ続けるその演奏のみならず、類稀に見る容姿でさらに人々を惹きつける。
バイオリンを弾く姿が美しいことから、プリンスと呼ばれた時期もあったという。
そして、名門中の名門のこの学校にスカウトされ、首席で合格したそうだ――。
「…へー……。すごいんだねぇ」
「すごいなんてもんやないやろ。この輝かんばかりの栄光の経歴!」
確かにまあ…。
そりゃすごいけど…。
「どしてそんなに知ってるの?」
「いやいや誰でも知ってるて」
…あれ?
そなの?
流行りのいんたーねっとで調べたらいっぱい書いてあるとか、そういうやつ?
「流行りのて…まあ確かにネットで調べたら出てくるやろけどなあ」
「まおいんたーねっとって読んだことないから分かんない。辞書とどっちが分厚い?」
「……は?」
こっちは真剣に聞いてるというのに、彼はものすごい怪訝そうな顔であたしを見た。
「……?」