龍の花嫁~ちはやふる・冬絵巻~
雪が深くなり…景色が白一色に…染まってゆく。
私は早朝から彼の居る納屋に向かう。
「!?」
彼は布団から出て立ち上がり…文を詠んでいた。
『わが君を 夜半(ヨハ)に夢みし 久方の天霧る雪の すべて降れれば』
(君を心の中で思い、夢の中で逢うことが出来た。嬉しくていつもよりも遅めに
起きれば、空は雲に覆われて、雪が降っていた)
「……」
初めて聞く美しく紡がれた言葉。
意味は理解出来なかった。でも彼には愛しいと思える誰かが居た。
「今朝は早いようですね…」
「!!!?」
彼は私の姿にビクッと肩を震わせ、驚嘆…布団の中に身を隠した。