龍の花嫁~ちはやふる・冬絵巻~
「失礼ですが…先ほどの和歌は…どのような意味ですか?」
「…意味はない…唯の独り言だ…気にしなくていい」
彼は私に背を向けて…素っ気無く返す。
「……京の男女は恋文を送りあっていたと聞きましたが…事実ですか?」
「……少し前の時代の話だ…。貴族が栄華を極めていた頃はそうだった」
「……私にも和歌って詠めますか?」
「和紙と筆があれば…私が教えてやってもいい…」
「本当ですか?」
彼のように美しい言の葉を紡いでみたかった。