僕のディスティニー!\(^o^)/
僕がうろたえると、あきくんはすかさず言い放った。表情のない横顔は本当に怒っているように見える。
自分でもそんなつもりではなかったのか、早口で冷たい口調を慌てておどけた口調に戻したように感じられた。
「ごめんー。さっき言った好きな人も、おれのこと女の子って勘違いしてる時はすごく優しく接してくれたのに、男って分かると相手にしてもらえなくなったから思い出してむかついたんだー。レズなんだって、その人。好みのタイプはあやちゃんみたいな可愛い女の子だってさぁ。男は恋愛対象にすらならないらしいからしょうがないけど、すっごい悲しかったからぁ……むかついたの」
苦笑いをして謝ってみせたけど、ソファーの上で膝を抱えて始めてから段々と表情が曇り出した。
まるで僕があきくんをいじめたたかのような気分だ。
「ごごごごごご、ごめ、ごめんね? ごめんね? ごめんね?」
このまま泣いてしまうじゃないかと、慌てふためく僕は謝ることしかできない。
「……実はさっき振られたばっかりなんだー。かさぶたが出来るどころか傷が乾く前にえぐられた気分だわぁ。……そんな時に限ってチンピラに追っかけまわされるしぃ、最悪だったよー。でもさぁ、たまたま見掛けたにいちゃんが、なんかねぇ、似てたんだよ。おれを振った人に。多分そんなに似てないんだろうけどさぁ、振られた上に生命の危機を感じてるヤバい状態の頭じゃ、そっくりに見えた! だから構いたくなっちゃったんだー。ごめんねー」
泣きそうな笑顔に、何故か心臓が高鳴った。不謹慎にも僕は、見た目だけじゃなくて可愛いところもあるじゃないかと嬉しく思ってしまっている。
「名前」
小さくあきくんが呟いた。
「え?」
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