ハネノネ
第一章
ハネノネ 第一章
ハネが、降ってきた。
雪のように白いけれど、融けることはない
花びらのように美しいけれど、決して土に還ることのないそれがもたらしたのは、
不治の病による世界の終わりだった。
ハネが初めてこの世に舞い降りたのは11年前。
ロシアを初め、面積の大きい順に降り注ぎ、徐々に世界を壊し始めた。
比較的面積の小さな日本に初めてハネが降ってきたのは、2年前のことだった。
ハネは毒を出していた。
その毒は急速に人々を蝕んでいった。
人はそれを“ハネの病”と呼んだ。
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