ハネノネ
理解するのに時間がかかった。
だって俺たちは幼なじみで
小さい頃からずっと一緒で
死ぬときも一緒なんだと、
頭の中で整理がつかないままヒカルの顔を見ると
今まで見たことのない、悲しい目をしていた。
彼氏とケンカしたときもこんな目は…
「“別れた”って…それが原因?」
メールを見て、すぐにわかった。
ヒカルは、言い出しにくいことをメールで縦読み文章を作って送ってくる。
文章の頭だけを読むと短い単語が現れる。
頭が揃えばいいから、本文自体をそのまま読むと、いつも支離滅裂だった。
この幼稚な文章で、俺らのケンカも何度も解決した。
ヒカルは小さく頷くと、俺の目を見て精一杯の笑顔で言った。
「でも今回はね、縦読みのところが重要じゃないの」
“私は、変われないよ”
「あたし…」
“恋愛してたって”
「ヒカル…」
“たったひとりのあなたの、”