ハネノネ


理解するのに時間がかかった。

だって俺たちは幼なじみで
小さい頃からずっと一緒で
死ぬときも一緒なんだと、



頭の中で整理がつかないままヒカルの顔を見ると


今まで見たことのない、悲しい目をしていた。



彼氏とケンカしたときもこんな目は…



「“別れた”って…それが原因?」



メールを見て、すぐにわかった。

ヒカルは、言い出しにくいことをメールで縦読み文章を作って送ってくる。

文章の頭だけを読むと短い単語が現れる。
頭が揃えばいいから、本文自体をそのまま読むと、いつも支離滅裂だった。

この幼稚な文章で、俺らのケンカも何度も解決した。



ヒカルは小さく頷くと、俺の目を見て精一杯の笑顔で言った。



「でも今回はね、縦読みのところが重要じゃないの」



“私は、変われないよ”



「あたし…」



“恋愛してたって”



「ヒカル…」



“たったひとりのあなたの、”


< 14 / 90 >

この作品をシェア

pagetop