ハネノネ
俺の中で何かが切れた音がした。
それが、合図。
気がついたらヒカルを強く抱き締めていた。
「コウ、スケ…」
「“幼なじみ”なんて言ったら、許さない」
ハネが降ってきた
この世に美しく降り注ぐ毒
俺の最愛の人を蝕む、毒
「俺はヒカルの、たったひとりの半身だ」
ずっと一緒にいた
だから死ぬときも、一緒がいいと思った
着けてたマスクを投げ捨てて
ヒカルの唇に、ゆっくりと口を重ねた。
もう人間である意味などない。
無数のハネに包まれたこの世界で
限られた短い命を
きみと過ごしたかった。