ハネノネ
「俺の友達のコウスケ。彼女がハネの病の…」
以前にユウヤから話は聞いていた。
彼女がハネの病にかかり、キスによる唾液感染で自らハネの病になった男。
背中には、小さく控えめな羽根が生えているが、変色作用はまだ行われていないようだ。
「彼女、5ヶ月に死んだみたい。」
目の前が、明るくなった気がした。
「発症してから…半年近く生きているの…?」
ユウヤがゆっくり頷いた。
ハネの病発症から半年生きているのは、異例の長生きだ。
弟の隣で虚ろな目をしてなにかに怯えている男
“天使”という単語を頻繁に零し、精神が壊れかけている男
まぎれもない、一筋の光だった。