ハネノネ
考えれば考えるほど、頭が痛くなってくる。
ハネはナキが出しているもので
ナキは異星人で、
「さっきの男の人に会ったのは、一年ぐらい前。」
コウスケのことだ。
とりあえず今は、理解できる情報だけを聞きたかった。
「道端で、泣き崩れていたの。羽根の生えた女の子を抱きかかえながら。」
コウスケの恋人がハネの病で亡くなった瞬間に、ナキは偶然立ち会っていたのか。
「女の子が死んだ、って言うから、男の人だけでも長生きしてほしくて、その人の脊髄に薬を打ったの。」
ナキは恐ろしいほど淡々と喋り続けた。
こんなに話すナキは初めてだった。
「薬って…?」
「病の進行を遅らせる薬。」
たくさんの人がそれを求めて死んでいった。
それを、ナキが持っていた。
誰もが、喉から手が出るほど欲したのに
ナキはそれを、
“恋人と一緒に死にたい”という願いを持ったコウスケに使った。