ハネノネ
「君の人種の名前を考えたんだ。」
男は「いつまでも殺人兵器呼ばわりは嫌だろう?」と言葉を続けた。
呼び方を変えようが、わたしのできることは変わらない。
むしろ殺人兵器の方が納得できる。
何を思って名前など、と思った。
「ハネノネ」
聞いたことのない単語が耳に飛び込んできた。
顔をあげると、男は少し照れたように笑っている。
「綺麗な名前だろう?ぴったりだと思ってね」
「…どういう意味?」
「母国語なんだ。君の毒は羽根みたいだからね。だから、“羽根の子”で、ハネノネ。」
「難しい…」
首を傾げるわたしを見て、男は声をあげて笑った。
「もしくは“羽根の音”……毒によって死んでしまった人達に捧げる鎮魂歌、って意味でもあるかな」
ハネノネ
忌み嫌われ続けていたわたしの人種に、初めて与えられた名前だった。