ハネノネ


「あれが、ハネの発生だよ」



先に沈黙を破ったのはナキだった。


「気持ちが高ぶると、生えてくるの。わたしは空高くまで飛んで、羽根を振り払うように降らせてる。
くっついてるときは普通の羽根の形だけど、抜けると収縮して花びら状になるの」



わからないことだらけで、頭が混乱する。

そんな話を聞きたかったわけじゃない。



「もういいよ、ナキ。もう十分だ」


「いやっ、ユウヤに聞いてほしい。わたしの全部」



もうどんな情報だっていらない。

俺は姉のように科学者ではないし、
コウスケのように発症者でもない。


僕は、僕の住むこの世界を壊そうとする異星人の少女が好きだという事実さえあれば、それ以上なんの必要もない。



「ユウヤがわたしのことを聞きたいって言ってくれた。だから全部言う」


「だからもう十分だって言ってるだろ!」


「なんで逃げようとするの?!」


「別に逃げてなんかない!」


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