ハネノネ
始まり
とある星の、変わらない日常の中で
“ナキ”と名付けられた赤ん坊が誕生した。
背中に羽根を生やしたその赤ん坊は、まさに天使そのもので
突然変異のため驚きの声はあがったが、人々はナキの誕生を心から祝った。
しかし、赤ん坊が誕生して1ヶ月が経つ頃、母親が赤ん坊と同じ羽根を生やして死んだ。
その次の日、父親も同じように羽根を生やして死んだ。
周りの者はすぐに気が付いた。
赤ん坊の羽根が殺したのだと。
気付いた時には、助産婦たちも羽根が生えていた。
これ以上犠牲を出すわけにはいかない、と、人々は生後数ヶ月の赤ん坊を閉じ込めた。