ハネノネ


男に“ハネノネ”という不思議な単語で名付けられた少女。


男は間もなく故郷へ帰っていった。



その男の後ろ姿を眺めながら、科学者は言った。




「私たちはあの少女で、世界は疎か銀河系をも支配できるのではないか」と。




あの男を見る限り、知識や能力は我らの人種の方が格段に上。

あの病を振りまき、宇宙を支配すれば、この星が滅びようとも生きてゆけるのではないか。




そう言葉を続けた。



人々は、直ちにハネノネを部屋から解放し、“チキュウ”へ飛ばした。



男が忘れていったチキュウの世界地図を見て、一番大きな国のロシアに狙いを定めて。




それが、ハネの病の始まりだった。


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