ハネノネ
最期
どれぐらいの時間が流れたのだろう。
ナキはあれからなにも言わず、出会ったばかりの頃のように僕に寄り添ってるだけだった。
ただ、星には帰らなかった。
それだけで、僕には十分すぎるほど贅沢だった。
この小さな星は、この小さな国を最後に終わるのかと思うと、なんだか他人ごとのように思えた。
見慣れた風景全部が、白に覆われている。
子供の頃に見ていたはずの情景も、とっくに白の記憶に塗りつぶされてしまった。
背中が痛む。
羽根が成長するたびに、ひどい激痛が走る。
気を紛らわそうと、思い出せる限りの記憶を、ひとつひとつ、ゆっくり思い返してみた。
そんなに立派な人生歩んでないな。
ハネが地球に降り始めた時も、なにも功績を遺すことなく死ぬんだと思っていた。
姉ちゃんみたいに頭良くないし。
あぁ、でも
ナキと出会えて、
ナキのことを全部知れたのは、姉ちゃんに勝ったかもしれないな。