ハネノネ
姉ちゃんはどうしているんだろう。
あれからもうずっと会っていない。
一度だけコウスケのアパートに行ったが、そこに姉ちゃんの姿はなく、コウスケの死体だけがあった。
父さんのために薬の開発を頑張っていたのに、まさか父さんに守られてたと知ったら、どんな顔するかな。
コウスケ、
あの世で晴れて好きな人と添い遂げられて、おめでとう。
俺は好きな人と同じところには逝けそうにないから、心底羨ましいよ。
父さん、
守ってくれたおかげで、好きな人ができたよ。
まさかすでに面識があるとは思ってもいなかったけど。
背中に激痛が走る。
コウスケも父さんも、こんな痛みに耐えてきたのか。
視界がぼやける。
ナキの顔が歪んで見える。
なにかを言っているけど、聞こえない。
久しぶりにナキの声が聞きたいのに。