ハネノネ
出会えて嬉しい、と思う。
この世で最も美しい光景を見せてくれた。
最期のときはどうか、
ナキのハネで、死にたいと思っていた。
俺のわがままで引き止めて、ごめん。
故郷の星へ帰って、
もう殺す必要がないことを、喜んで。
ぼやけた視界で、ナキの顔が近付いてくるのが見えた。
唇に柔らかい感触がした瞬間、
背中の痛みが途切れる。
神経が切断された。
故郷に帰らなかったお姫さま
王子様のキスで、どうなってしまうのだろう。
意識が飛んでゆく。
「……ナ、キ…」
さよならだ。