ハネノネ
ユウヤはとっくに息を引き取っていた。
背中の羽根が大きく成長している。
窶れてはいたが、表情はコウスケ同様非常に穏やかで、自分の無力さに涙が出てきた。
いつもいつも、時間だけがこんなにも足りなくて
うまくいかないことだらけ。
なにひとつ守れなかった。
ふと気が付くと、ユウヤの傍に小さな羽根の山があった。
白い花びらではなく、天使の羽根。
弱い風が吹くと、ユウヤの遺体を包み込むようにユウヤの体に積もり、それ以上はいくら風が吹いても動かなかった。
ユウヤに口許に付いた羽根は、一切動くことがなかった。
とても、不思議な現象。
きっとこの羽根は、ナキ自身なんだろう。
羽根に包まれたユウヤを見て、その幸せそうな姿に、なんだか泣きたくなった。