雨に恋した華 〜君とずっと〜
「紫、携帯鳴ってる」


「え?」


ボーッとしていたあたしは、虹ちゃんに言われてバッグの中を探った。


「千晶からだ」


「早く出てあげたら?」


笑顔の虹ちゃんに頷いて、携帯を耳に当てる。


「もしもし?」


「あっ、紫?今、大丈夫?」


矢継ぎ早に訊いて来た千晶に圧倒されながらも、笑顔で返事をする。


「うん、大丈夫だよ」


「そっか。あのね、昨日のお礼が言いたくて……」


すると、千晶は今度は控えめに言った。


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