雨に恋した華 〜君とずっと〜
「……泣くなよ」


眉を寄せながらも微笑んでいた虹ちゃんが、ハート型のチョコレートの中に入っていたシンプルなシルバーリングを取った。


そして、彼はそれをあたしの左手の薬指に着けてくれた。


「だっ、て……」


そう呟いた瞬間、また涙が零れ落ちた。


「紫」


虹ちゃんはあたしを優しく呼んだ後、笑顔で続けた。


「もう少ししたら、一緒に住まないか?」


「え……?」


小首を傾げると、虹ちゃんがあたしの左手を優しく握った。


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