雨に恋した華 〜君とずっと〜
すぐに入口に視線を遣ると、駆け寄った店員を振り払うような勢いの健一がズカズカとこっちに向かっていた。


「千晶、帰るぞっ!!」


それだけ言った彼は、千晶の腕をグッと引っ張った。


「ちょっ……!いきなり何なの!?」


彼女は眉をしかめていたけど、その表情は微かに緩んでいる。


「イイから帰るぞっ!!」


「な、何言ってんのよ!あたし、怒ってるんだか……」


「悪かったよっ!!」


健一は眉を寄せたまま、千晶の言葉を遮った。


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