雨に恋した華 〜君とずっと〜
「紫ちゃん、大丈夫?気分でも悪い?」


唇を噛み締めながら俯いていたあたしを覗き込むように、村上さんが首を傾げていた。


「いえ、大丈夫です」


ニッコリと笑って見せたけど、笑顔を繕えなかったのはよくわかっていた。


そんなあたしを見た村上さんは、何かを感じ取ったみたい。


彼は一瞬だけ虹ちゃんに視線を遣った後、真剣な表情になった。


「紫ちゃん、もしかして長谷川の事が……」


そこまで聞いたあたしは、村上さんの言葉を遮る為に慌てて口を開いた。


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