雨に恋した華 〜君とずっと〜
虹ちゃんはすぐに電話を掛け直して来たけど、唇を噛み締めながら電源を切った。


その瞬間、涙が溢れ出した。


「バカ……」


小さく呟いた言葉が、冷たい風が吹く街中にポツリと落ちる。


苦しくて悲しくて、後から後から溢れて来た涙がポロポロと零れ落ちた。


何よ……


「虹ちゃんなんて、もう本当に知らないんだから……。そんなに仕事が好きなら、ずっと仕事ばっかりしてればイイじゃない……」


強がりながら涙を拭ったあたしは、サッと踵を返した。


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