雨に恋した華 〜君とずっと〜
「……紫ちゃん?」


しばらく黙り込んでいたあたしに不安を感じたのか、村上さんが控えめにあたしを呼んだ。


「あっ、はい……」


小さく応えながらも、彼に返す言葉はまだ見付けられていない。


「いきなりだったし、驚かせちゃったかな……」


苦笑しながら話す村上さんが、何だか優しく見える。


この時のあたしは、もうとっくに頭が正常に働いていなくて…


このテーブルにいる全員が、あたしと村上さんの事を注目しているなんて考えてもいなかった。


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