雨に恋した華 〜君とずっと〜
「「は?」」


「え……?」


声を揃えて驚いた村上さんと森さんの後を追うように、あたしから小さな声が漏れた。


後ろから抱き締められた温もりに導かれるように、さっきからずっと堪えていた涙が零れ落ちる。


「何、お前……」


「すみません。紫は、俺の大事な彼女なんで」


驚いたままの村上さんの言葉を、虹ちゃんが力強い声で遮った。


ずるい……


ずるいよ、虹ちゃん……


唇を噛み締めていたあたしは、ゆっくりと口を開いた。


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