雨に恋した華 〜君とずっと〜
「あたし、帰らないもん……」


意地っ張りな自分(アタシ)が、嬉しさを隠すように小さく言った。


「ダメ、帰るよ」


「嫌……」


「紫」


「あたしの事なんて、どうでもイイくせに……」


声が震えそうになるのを必死に堪えて、ひたすら気丈に振る舞い続ける。


「紫……」


背中越しに感じる虹ちゃんの体温が、少しだけ遠くなった気がした。


その直後…


虹ちゃんに顎を掴まれたあたしは、そのまま顔を上げさせられた。


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