雨に恋した華 〜君とずっと〜
何も言わない虹ちゃんの顔を見るのが恐くて、あたしは彼の肩に顔を埋めたまま揺られていた。


だけど…


不意に、さっきまで抱えていた虚しさや苦しさを思い出してしまった。


「嫌い……」


自分の本当の意思とは関係無く、ポツリと呟いていた。


「うん」


今まで黙っていた虹ちゃんは、あたしの言葉に小さく返事をした。


「虹ちゃんなんて、嫌い……」


「うん」


「大嫌いなんだから……」


そこまで言った時、涙が零れ落ちた。


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