王子様の甘い誘惑【完】
昨日までのウキウキした気持ちが嘘のよう。
蓮と出会わなければ……ううん、違う。
蓮と出会ってもきっと問題はなかったはず。
だって、蓮とあたしの接点は何一つなかったし。
結局、蓮と一緒に暮らすことにならなければ、あたしは華の高校生活を満喫できていたんだ。
蓮と両親があたしに黙ってあんな契約を結ばなければ……――!!
って、今更そんなこと言ったってどうにもならないのに……。
「……――ムカつく」
そうポツリと呟いた瞬間、周りの生徒達が悲鳴にも似た黄色い声を上げた。