王子様の甘い誘惑【完】
「ねぇ、あの人カッコ良くない!?」
「あんな人いるんだー!先輩かなぁ?」
「誰に会いに来たのかなっ!?」
キャッキャッと騒ぐ周りの女子生徒達。
ん?カッコイイ……?先輩?
何気なく視線を教室の扉に移したあたしは思わず目を見開いた。
……嘘!!……ありえない!!
「な、なんで蓮がここに……――」
扉に背中を預けて真っ直ぐあたしを見つめながら蓮は口元をクイッと上に持ち上げる。
「理生、早く来いよ」
低いその声が耳に届いた瞬間、周りの生徒が一斉にあたしを見た。
上から下まで舐めまわす様に見られて居心地が悪い。