王子様の甘い誘惑【完】
『その料理本買ってこい』
その言葉が、蓮の優しさだって分かってるのに。
意地悪でもなんでもなく、蓮があたしの為にそう言ってくれたのに。
それなのにどうして素直に蓮の言葉を受け入れられないんだろう……――。
「……うちは確かに貧乏だけど……そんな言い方しなくてもいいじゃない。蓮みたいに親がお金持ちってだけのおぼっちゃまに、そんなこと言われたくない!!」
「……おぼっちゃま?」
「そう!蓮なんておぼっちゃまくんじゃん!!」
もうどうにでもなれ!!
大声を張り上げてそう叫んだ瞬間、グイッと肩を押された。