王子様の甘い誘惑【完】
一人で勝手に怒って……あたし、バカみたいだ。
「……怒ってごめんね」
小さく頭を下げながら謝る。
すると、蓮は「別に」と素っ気なく答えた。
その横顔は信じられないくらい綺麗で。
蓮って……意地悪なこと言わなければ、本当の王子様みたいだ。
んー……、でも王子様は耳にあんなにたくさんピアス付けてないか?
それに、王子様にしては肌の色が黒すぎる。
王子様って白いタイツ履いてるもんね。
……って、蓮が白いタイツ履いてるの想像しちゃった……!!
「気持ち悪ぃな。何一人でニヤニヤしてんだよ」
「……ふぎゃ……――!!」
蓮はあたしの鼻を人差し指で上に持ち上げると、露骨に顔を歪めた。
「リアルに豚だな」
「うるさい!!」
押し殺す様にして笑う蓮。
あたしは蓮を思いっきり睨みつけた。