王子様の甘い誘惑【完】
夕飯は肉なしカレーライスに決定した。
蓮は「何で肉がねぇんだよ!!」と文句を言いながらもおかわりまでした。
「あたしね、蓮が帰った後、ユキ先輩と食堂で喋ったんだ」
二人分の食器を洗いながらカウンターでコーヒーを飲む蓮に声をかける。
「ユキと?」
「そう。ユキ先輩っていい人だね。ほぼ初対面のあたしにパンくれるなんて」
「……ユキが……ねぇ」
蓮は残りのコーヒーを一気に喉の奥に流し込むと、あたしを真っ直ぐ見つめた。