王子様の甘い誘惑【完】
「で、お前は何が言いたいわけ?」
「何がって……別に……。ユキ先輩って優しいんだなぁって思っただけ」
「誰と比べて優しいとか言ってんの?」
蓮の瞳に不満の色が浮かび上がる。
ヤバッ!怒らせるとめんどくさいことになる!!
あたしは泡の付いた手を顔の前で左右に振った。
「べ、べ、別に蓮と比べてるわけじゃないから!!」
「お前って分かりやすい奴だな」
「……ごめんなさい」
とりあえず、謝っておこう。
蓮の顔色を伺いながらペコリと頭を下げる。