王子様の甘い誘惑【完】

「別に何とも思ってねぇよ」


蓮は呆れた表情でスツールから下りると、部屋の掛け時計に視線を移した。



「……何か用事でもあるの?」


「別に。大した用事でもないけどな」


蓮は「戸締りだけはちゃんとしとけ」そう言い残して、リビングから出ていった。



開放的なこの部屋も、一人でいるには広すぎる。


二人でいれば感じない孤独を一人では感じてしまう。




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