王子様の甘い誘惑【完】
「ねぇ、蓮……。どこ行くの?」
出掛ける用意が終わって玄関で靴を履いている蓮にそっと近付いていって声をかける。
蓮は振り返ると、無表情のまま答えた。
「クラブ」
あー……、クラブか。
でも、こんな夜遅くに活動してるの?
「蓮って部活入ってたっけ?」
「バカ女」
「……ちょっ、ちょっと待ってよ!!」
うんざりした表情で扉に手をかける蓮をもう一度呼びとめる。
「んだよ、言いたいことあんならさっさと言え」
「クラブって……あの、音楽がかかってて……みんなが踊ってて……そこには女の子もいて……お酒も……あって……」
えっと……それから……――。
「だったら、何?」
「……女の子と……遊ぶの?」
そう聞くと、蓮は眉間に皺を寄せた。