王子様の甘い誘惑【完】
「俺が女と遊んだら、嫌?」
「別に……そんなんじゃないけど……」
「嫌なら嫌って言えばいいだろ」
「べ、別に嫌ってわけじゃ……」
だけど、やっぱり気になるのは事実で。
昨日の夜、蓮と一緒にベッドに入った時、女物の香水の匂いが気になって眠ることが出来なかった。
それはきっと、嗅ぎ慣れない香水の匂いが嫌だっただけ。
蓮が誰と遊んでるかなんてあたしには関係ないもん。
それなのに、どうしてあたしは蓮を呼び止めたんだろう。
「女の子と……遊ぶの?」なんて聞いたんだろう。
蓮と女の子が一緒にいるところを想像すると、胸をえぐられるような気持ちになるのは何故なの?
「お前が俺の女になるなら、もう女遊びしねぇよ」
「……へ?」
蓮はあたしの頬にそっと手を添える。
その手の平はとても温かくて。