王子様の甘い誘惑【完】

「俺が女と遊んだら、嫌?」


「別に……そんなんじゃないけど……」


「嫌なら嫌って言えばいいだろ」


「べ、別に嫌ってわけじゃ……」


だけど、やっぱり気になるのは事実で。


昨日の夜、蓮と一緒にベッドに入った時、女物の香水の匂いが気になって眠ることが出来なかった。


それはきっと、嗅ぎ慣れない香水の匂いが嫌だっただけ。


蓮が誰と遊んでるかなんてあたしには関係ないもん。


それなのに、どうしてあたしは蓮を呼び止めたんだろう。


「女の子と……遊ぶの?」なんて聞いたんだろう。


蓮と女の子が一緒にいるところを想像すると、胸をえぐられるような気持ちになるのは何故なの?



「お前が俺の女になるなら、もう女遊びしねぇよ」


「……へ?」


蓮はあたしの頬にそっと手を添える。


その手の平はとても温かくて。

< 155 / 425 >

この作品をシェア

pagetop